梅雨前線に沿って発生する中規模擾乱の解析

対流圏科学研究分野 菊地庸子



梅雨前線上では様々な規模・形状の,豪雨を伴う雲システム(上層アンビル,または楯状雲)が発生・発達を繰り返している。中でも,メソ擾乱に伴う中間規模雲システムの発達が顕著である。

本研究は雲システムの形状を決定する要因を解明することを目的とした。解析対象として円形,テーパリング状,南方伸張型雲システムの4事例を取り挙げた。

環境場を解析した結果,全ての雲システムとも,大きな相当温位傾度と風のシアーによって定義される梅雨前線上に位置していることが分った。梅雨前線上のMCS(メソ降水系)については,下層においては水平収束・正渦度,上層においては水平発散・負渦度を持つという共通した構造が見られた。また,渦度軸が北東へ傾いているといった特徴も共通していた。さらに,下層収束場は,4事例とも前線に沿うメソ-βスケール線状収束帯であった。

上層風速場から雲システムの移動速度を引いた上層相対風場は,雲システムの形状と良い対応を示した。以上のことから,雲システムの形状を決定する要因は,下層・中層におけるMCSの構造ではなく,上層相対風場であるということが解明された。