梅雨期における九州地方の地形性降雨の特徴について

                       

対流圏科学研究分野 市丸裕美子

 

1.            はじめに 

九州地方では、時折、地形性による降雨が確認され、それはしばしば豪雨をもたらす。例として、甑島ライン、諫早ライン、長崎ライン、五島ラインがあげられる。これまでの地形性降雨の研究は、その事例解析が成されてきていた。本研究では、事例解析でなく、いくつかの事例を集めて、地形性降雨が長く持続したものと長く持続しなかったものとに分けて、地形性降雨が長く持続するのに必要な特性を調べていくことにした。

 

2.              使用したデータと解析方法について

  研究の解析に用いたデータは、以下に示すものである。

AMeDAS観測10分値データ    ・高層気象観測資料    ・気象庁天気図   

・北部福岡及び南部福岡レーダーエコーデータ          ・メソ客観解析データ(MANAL)

  解析期間は、1999年から2001年までの6、7月の梅雨期間である。レーダーエコーデータにおいて、九州の山地・島の地形の影響によって形成された線状エコーが3時間以上持続したものを、「地形性降雨」と判断し、10例を取り出して解析の対象とした。ただし、前線がかかった中で発生した地形性降雨は、レーダーエコーデータからは判断できないため、解析の対象からは除外した。 

 

3.            結果

 10例中、3例が持続時間、総雨量、降水強度ともに、弱かったが、いずれも前線の位置が、地形性降雨が確認された位置よりも下に現れていた。また、持続時間、総雨量、(and/or降水強度)が強い地形性降雨は、地上において、風の収束がみられ、かつ、水蒸気が南西または南より流入する傾向があるということがわかった。一方で、低気圧が九州地方を通過するに伴って、風の定常性が失われた場合、地形性降雨は持続できないことがわかった。以下に例を挙げる。左図は持続時間の長い地形性降雨の例であり、右図は持続時間の短い地形性降雨の例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上図:200161912:00

   のレーダーエコー図

 

上図:20016142:20

   のレーダーエコー図