梅雨期豪雨の分類

             〜団塊状対流系と線状対流系の事例解析〜

対流圏科学研究分野 白石 瞬

 

 日本列島では、初夏と盛夏の間に曇天が続き雨量の多い期間がある。これが梅雨期なのであるが、この期間は、全国的に梅雨前線が長時間停滞し、多量の降水がもたらされる。中でも九州地方においては、日降水量が100mmを超えるような豪雨が多い、という特徴がある。

 九州各地の気象台,測候所において、1998年〜2000年の3年間の、6月〜8月の間に、日降水量が100mm以上である日数を調べてみたところ、27日あった。

これらの豪雨について、その降水の形態を、主に赤外線雲画像、レーダー合成図を用いて、それぞれ、(A)団塊状対流系によるもの(図1)、(B)線状対流系によるもの(図2)、(C)どちらともいえないもの、の3つに分類してみた。その結果、次のようになった。

         (日降水量100mmを超えた日数)

             レーダー合成図 

       図1                図2

 

これらの豪雨の中から、(A)の事例として、[事例1]、[事例2]を、また(B)の事例として、[事例3]を取り上げ、解析を行った。

[事例1]2000年6月3日の鹿児島豪雨    [事例3]1999年6月24日の九州中北部豪雨

[事例2]2000年6月24日の鹿児島豪雨

 解析に用いたデータは、アメダスデータ、高層気象観測データ、レーダーデータである。これらのデータから、福岡と鹿児島における風、相当温位の高度分布、また、大気の鉛直静的安定度を示す指数を求めた。さらに、米子、福岡、鹿児島、名瀬の4地点の高層気象観測データから、おおよその子午面方向の風、相当温位の高度分布を求めた。

 これらの結果から、団塊状降水系は梅雨前線上で発達し、線状降水系は前線の南側で発達する傾向がある、ということが分かった。また、九州で集中豪雨が起こる際、一般に九州北部は、南部に比べて大気の状態が比較的安定であった。これらのことは、線状降水系に伴った豪雨が、高地に集中していることから考えても、その発生には、地形的強制が必要であるということを示している。また、その維持機構については、湿潤温暖空気の流入のみならず、時間、高度と共に、風向がほぼ一定に保たれることが必要であると考えられる。