北大西洋振動(NAO)と北欧の降水の関係

4年 河内悠
共同研究者 稲丸 貴志

 北大西洋とその周辺地域の気候は、North Atlantic Oscillation (北大西洋振動) から大きな影響を受ける。NAOは、北大西洋において南北に気圧が振動し、それに伴って気温、降水等が変動するteleconnection patternであるが、本研究では、NAOと北欧の降水の関係をデータ解析により調べた。用いたデータ解析法は相関解析および因果律解析である。  過去にもこれに関する研究はなされていて、例えばJ.W.Hurrell(NCAR.1996)の解析によると、NAOと北欧の降水は正相関の関係にあることが示唆されている。ただし、彼の用いたデータは解像度の粗いデータなので、微細な構造を表現してはいない。本研究では、大規模な変動パターンであるNAOと、ローカルな降水との関係に着目し、より細かなデータ(北欧各地の観測所221地点の降水量データ)を用いた解析を行った。また、NAOが冬期に特に目立つ現象であることから、この種の研究はおもに冬期について行われているものが多いが、本研究においては1年を通して取り扱った。  本研究での解析の結果、特にスカンジナビア半島南西部では、NAOと降水との間に強い相関ならびに因果関係がみられた。この他の地域でも広い範囲にわたって有意な相関関係がみられた。  なお、やはり冬にもっとも強い影響がみられるけれども、他の季節でもNAOと降水に関係があることが明らかになった。図には相関関係が最も顕著な冬季[12-3月]の相関解析の結果を示す。   また、J.W.Hurrellの解析からの類推では、北欧全体が正相関となることが予想されていたが、解像度の高い解析の結果、狭い負相関の地域も存在することが判明した(図の青い部分)。降水が大規模場に直接影響を受けている地点と、地形の効果を介している地点が存在することがあると推測できる。