1999年6月29日九州北部での豪雨の解析――九州の他の梅雨期豪雨との比較

氏名: 大東 忠保
指導教官: 守田 治


 梅雨期には多量の降水がもたらされる.全国的にこの雨は、梅雨前線が長時間停滞し、比較的弱い雨が持続することによってもたらされる.九州地方の梅雨期では、加えて、1時間に50mmを超えるような激しい降水が多いという特徴がある.

今回は、昨年の梅雨期中の6月29日に九州北部にもたらされた集中豪雨をとりあげた.1時間降水量の最大は長崎県壱岐の芦辺で106.5mm、福岡県篠栗で100.5mmと100mmを越え、福岡でも77.0mmを記録するなど九州北部の各地で集中豪雨が起こった.なぜ、このように激しい雨が降り得たのかを水平スケール100kmから1000km程度の場の状態から推測するのが今回の目的である.1972年7月6日に熊本県天草上島の竜ヶ岳で1時間降水量130.0mmを記録した1972年7月上旬の豪雨と、1997年7月9日に鹿児島県出水で1時間降水量62.0mmを記録した出水豪雨の2例の梅雨期の豪雨と基本場を比較しながら述べる.

3事例の比較のために用いたデータは、高層気象観測データである.このデータから福岡と鹿児島における風・相対湿度・相当温位の高度分布を求めた.また、大気の鉛直静的安定度を示す指数も計算した.これらの結果から、一般的に九州で集中豪雨が起こる際の大気の安定性に関して北部と南部では相違する点があった.この違いは、北部で集中豪雨が起こる際に南部と比べて大きな力学的強制が必要であることを示している.

そこで、昨年の事例に関して地上での収束を見積もった.その結果からは強い降水と収束との関連性は見られなかった.これは、用いた風データの地域依存性を取り除けなかったことに起因すると思われる.

 レーダー合成図のエコー域の動きや、降水域と高層の風との対応からは、下層での強い収束があったことが示され、この収束によって昨年の集中豪雨は維持された.