福岡市周辺における風下波の観測的研究

氏名: 佐藤 暢晃
指導教官: 伊藤 久徳



 福岡市周辺において発生する風下波について、その発生傾向を明らかにすることを試みた。

 用いたデータは福岡管区気象台から1日2回飛揚されるレーウィンゾンデ観測気球(1996−1997)であり、ゾンデのデータにおける上昇速度の変動に着目して、風下波と思われるデータを抽出した。そのデータを月別、風向別などに分類すると、南〜北西の風向が大半を占め、1,2月,6,7月に特に集中して発生していることが分かった。さらに、この2つの発生集中期間の特徴を調べると、冬は三郡山地を西から越え、夏は背振山地を南から越えて発生する風下波が多いことが分かった。

 また、データの抽出の際に着目した上昇速度の変動が、風下波による擾乱の結果であるかどうかを検証することも試みた。レーウィンゾンデのデータを1日2回の時系列データとして配列し、それにlow-passフィルターをかけたものを基本場、high-passフィルターをかけたものを擾乱場として考えた。基本場からスコーラー数、擾乱場から水平速度・上昇速度・温位の位相関係を求めて、これらが風下波の特徴と矛盾しないかどうかの検証を行った。すると、スコーラー数に関しては風下波の特徴と矛盾しないことが分かった。位相関係については風下波の特徴の片鱗を発見することはできたものの、はっきりと検証するまでには至らなかった。