梅雨前線上の擾乱に対する下層ジェットの役割

氏名: 岸川 真人
指導教官: 守田 治



 傾圧不安定により生じる中緯度総観規模系の水平スケールは、2000~3000kmであるのに対し、梅雨前線上に生じる擾乱の水平スケールは、数百kmと短い。その理由として、「湿潤過程に伴う潜熱の放出」「下層ジェットの影響」が考えられている。下層ジェットとは、高度1500m~3000m付近でしばしば見られる風速15~20m/s程度の気流である。

 本研究では、様々な風速の鉛直分布を仮定し、下層ジェットの傾圧不安定に対する影響を調べた。純粋に下層ジェットの影響を見るために、湿潤過程は含めなかった。 傾圧性を表現するためには、鉛直運動や温度変化を表せるように多層モデルを用いる必要がある。今回の研究では大気を50層に分けた。これら各層において、準地衡渦度方程式と熱力学方程式を用い、固有地問題として解いた。また、大気の境界条件として、対流圏界面と地表で鉛直運動がないと仮定した。

 風速の鉛直分布のもととなる観測データとして、1993年8月に鹿児島で起こった集中豪雨時のデータを用いた。

 結果の比較は次の3つに分けて行った。

     1.下層ジェットの高度が約3000m(700hPa)の場合
     2.下層ジェットの高度が約2300m(775hPa)の場合
     3.下層ジェットの高度が約1500m(850hPa)の場合

 結果として、下層ジェットの高度が下がると下層で発達する擾乱の波長が短くなり、成長率は大きくなった。