湿潤過程を含む傾圧不安定の構造について〜1997年7月福岡の豪雨の解析例〜

氏名: 田中 小緒里  鳥山 暁人
指導教官: 守田 治



 集中豪雨発生時には、上空3000m付近にしばしば「下層ジェット」と呼ばれる強風軸が存在することが知られている。1997年7月の福岡の豪雨の際、この下層ジェットが観測された。そこで、梅雨期の湿潤過程と下層ジェットが傾圧不安定に及ぼす影響について研究をおこなった。

 解析において、傾圧性を表現するために鉛直運動や温度変化を表わせるように50層モデルを用いた。各層で準地衡風渦度方程式と熱力学方程式を適用し、固有値問題として解いた。大気の境界条件として、対流圏界面と地表で鉛直運動がないと仮定した。

 湿潤過程を含める場合、擾乱の発達に重要な役割をはたしている水蒸気の凝結による潜熱の放出を考えなくてはならない。この潜熱を熱力学方程式の非断熱項に含ませることにした。

 結果、下層ジェットに伴う鉛直シアーと適度な降水によって傾圧擾乱の成長率は大きくなり、その波長は小さくなった。