季節変化を含む1次元気候モデルによるピナツボ火山噴火後の気候変化の研究 
 
氏名: 滝川哲太郎、室谷宏一
指導教官:  守田治


 本研究ではBudykoタイプのモデルをもとにして年平均状態の1次元気候モデルを考え、次にそれをもとに季節変化を含むモデルを考えた。ただし季節変化を含むモデルには地軸の傾きを考慮し、さらに熱輸送には1ヵ月の時間的遅延があると仮定した。

 観測データの解析からピナツボ火山噴火後、気温は夏には大幅に低下するのに対し、冬はほぼ平年並みに戻っていることと、大気の光学的深さが増加していることがわかった。また、大気の光学的深さと気温の偏差には相関があることがわかった。

 このことからピナツボ火山の噴火によりSO2から発生した硫酸を含む雲の増加によって大気の透明度が減少し、同時に吸収係数が増加したと仮定してモデル中の各パラメータを変えたときの気候の変化とピナツボ火山の噴火以後の気候の変化とを比較した。その結果、観測データとほぼ同じ振る舞いをすることがわかった。また、観測データの解析から実際の気温に影響が出るのに約9ヵ月の時間的遅延があることがわかった。これらのことからピナツボ火山の噴火が1993年の異常気象に影響していると推測される。