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台風(Typhoon)



台風の定義は?

西太平洋の熱帯低気圧で,10分間の平均風速が17.2m/s(およそ時速62km)を超えるものと定義されています。

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図1:2004年台風16号(中心に「眼」が見えている)

台風の構造は?

風が中心に向かって反時計回りに吹きこみます。気温がほぼ一様な大気の中で生成される渦であるため,温帯低気圧とは違って前線はありません。

※眼&壁雲(アイウォール)&スパイラルバンド

発達期から最盛期にかけて,台風の中心には雲や降水が少ない「眼」が確認されます。「壁雲」は「眼」を取り囲む高さ12km以上の雲バンドであり,雨や風が最も強い場所です。「スパイラルバンド」は,壁雲よりも外側でらせん状に台風を取り巻く高さ数km程度の雲の列のことです。

台風発生のメカニズムとは?

様々な説が提唱されていますが,まだ理論が確立されていません。

台風が発生しやすい状況とは?

(i)高い海水温(およそ26℃以上)(ii)下層の低気圧性渦度(反時計回り回転)(iii)弱い鉛直シアー(上層と下層の風の強さや向きに違いがあまりない)などがあります。

台風はなぜ発達するのか?

右図のように,摩擦を伴う風の下層収束で上昇流が生まれます。この上昇流には多くの水蒸気を含んでおり,上空に行くと,この水蒸気が凝結し,熱を放出します(潜熱放出)。これが地表気圧の低下をもたらし,さらに下層収束が強まります。このサイクルを繰り返すことにより主に台風が発達します。

台風と他の現象との関係は?

エルニーニョ・南方振動(ENSO),季節内変動(雲から宇宙に放出される赤外線強度(OLR),風,渦の強度(渦度)などの物理量が季節内周期で東へ進む現象),モンスーンなどの他の気象現象と台風発生位置・経路が関係していると言われています。

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図2:台風発達の概念図



対流圏科学研究分野で行っている研究

現在,対流圏科学研究分野では(i)下層風サージによる台風発生のシミュレーション,(ii)台風と前線の相互作用,(iii)季節内変動と台風発生の関係,について研究を行っています。

台風発生のシミュレーション

観測データでは時間・空間の解像度が悪く,どのように台風が発生するのかが 不十分です。そこで,この欠点を対処するため,数値シミュレーションを用い, 特に下層風サージ(下層での強い風)が台風発生にどのような影響を及ぼすのかについて研究を行っています。

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図3:2001年12月27日2時の等価黒体温度(雲の温度)で見た台風。

台風と前線の相互作用

台風と梅雨前線が近い場所にある時,台風は変形・再発達し,梅雨前線は台風によって刺激され大雨をもたらすことがあります。このメカニズムを理解するため,台風と梅雨前線がどのように相互作用するのかについて研究を行っています。

季節内変動と台風発生の関係

西部太平洋で,季節内変動が活発であるとき,台風が発生しやすいことが知られています。物理的メカニズムを理解するため,季節内変動のどの物理量が台風発生に重要であるのかについて研究を行っています。

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図4:西太平洋で季節内変動が不活発時(左)と活発時(右)のOLR。下層風の合成図。数値は台風発生数。