トップページ >気象の教室>メソ対流系

メソ対流系(Mesoscale Convective System; MCS)



1.メソ気象とは?

「meso」とはラテン語で「中間の」の意味であり,Meso-scaleとは直訳する と,中間のスケールのことです。具体的な数字を述べると,数km~数千km のスケールとなります。メソスケールの現象はいくつかのスケールの現象からなるマルチスケール構造を持っており,さらにメソα,β, γスケールの3つに分類されます。特にメソαスケールは数百km~数千kmでおおよ そ低気圧くらい,メソβスケールは数十km~数百kmでいくつかの積乱雲が集まっ たくらい,メソγスケールは数km~数十kmで個々の積乱雲のスケールとして分 けられます。ちなみに,福岡-東京間が約1,000 km,九州の東西スケールが約 200 km,我らが九州大学箱崎キャンパスから伊都キャンパスまでの距離が約 20 kmであることを考えていただければ,わかりやすいかもしれません。

メソスケール現象の多くは,「雨」と密接に関係しているので,そのメカニズムの研究は私たちの生活に非常に重要となります。具体的には,メソスケール現象の研究が必要な理由として,大きく以下の2点が挙げられます:(i)その現象の中に含まれる個々の積乱雲が組織化し,時には自己増殖して長時間持続することがあり,その結果豪雨や豪雪をもたらすため。(ii)その結果もたらされる大量の降水は,大気中のエネルギーや水循環に重要な役割を果たすため。

またメソスケール現象の内部には,個々の積乱雲の他にも竜巻といった激しいミクロスケール(1 km〜10 km)現象を含まれることがあります。そういったミクロスケールの現象が「好みやすい」環境場がどのようになっているかという観点からも,メソスケール現象は興味深い研究対象となっています。

1.メソ対流系とは?

メソスケールの降水システム。梅雨期などでは降水セル(メソγスケール)が多 数発生し,一つの集団(メソβスケール,メソαスケール)を形成し,入れ子構造 となることが多いです。個々の降水セルの持続時間はせいぜい数時間程度です が,集団の中で降水セルの発生・発達・衰退が繰り返されることにより,シス テムが長寿命となり,豪雨をもたらします。また,このように世代交代をしな がら,多くのセルが関与する構造をマルチセルとも呼びます。

2.研究

 メソ対流系は様々な形態をとり,組織化され非常に特徴的な内部構 造を持つものも多くあります。形態に関する研究は世界で多く存在し ます。しかし,それはアメリカや熱帯域に関してのもので,日本とは 環境状態が大きく異なります。日本付近を対象としたものについては まだ詳しく研究されていません(2009年記述)。
 そこで本研究室では,日本付近,特に梅雨期の九州近海に着目し,そこでの特徴的な形態を持つメソ対流系の維持・発達機構を解明することを目指しています。
 メソ対流系の形態は細かく見るといくつかに分類されます(図)。それぞれの形態について,天気図や数値モデルを用いて鉛直方向の状態や気流の構造の違いを解析しています。

meso1

図:九州近海におけるメソ対流系の形態の種類