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ブロッキング(Blocking)



ブロッキングとは,中緯度偏西風帯で卓越する,大規模な天候パターンのことを指します.図1はブロッキングが起こっている時の気圧分布を示しています.太平洋北部に巨大な(直径およそ5000 km)高気圧が存在している様子が見てとれます.この高気圧のことをブロッキング高気圧と呼びます.まれに南に低気圧を伴い,双極子状の構造を持つブロッキングシステムも存在します.高気圧のみから構成されるブロッキングシステムをomega型ブロッキング,双極子状のシステムをdipole型ブロッキングといいます.

ブロッキングは,異常気象と密接に関係していると言われています.その理由は,このシステムは,偏西風が強い東西成分を持つ天候パターン(図2)と異なり,偏西風の大きな蛇行を伴うことと,さらにその状態が1週間以上の長きにわたって停滞,持続するという特徴を持っているためです.そのため,偏西風に乗って上流から流されてくる移動性高低気圧の経路を変える,つまり,通常の経路を「ブロック」し,その通常と異なる状態を長く持続させることから,異常気象と密接に関係していると考えられています.

また,ブロッキングは20世紀の初頭から予報官を中心によく知られた現象であり,予報することが非常に難しいことで有名な現象でした.現在の発達した数値予報でも,ブロッキングの予報は難しく,ブロッキングが予報できるかどうかが中長期予報の善し悪しを決める一つの要因となっています.

上記のように,ブロッキングは今日でも多くの気象学者の関心事となっていますが,そのメカニズムに関してはまだまだ未解明な点が多く残っています.特にその発生や,持続のメカニズムに注目すると,熱帯からの遠隔影響,移動性高低気圧からブロッキングへのフィードバックメカニズムなど,今日でも精力的に研究が行われています.私たちの研究室でも,そのブロッキングの形成・持続メカニズムに関して,様々な視点から研究を行っています.


blocking1

図1:ブロッキング時の北半球でのブロッキング時の250hPaポテンシャル高度のスナップショット.アリューシャン上空に巨大なブロッキング高気圧が張り出している.この高気圧は約1週間にわたって停滞,持続した.この時,偏西風ジェット(等値線が込んでいる領域)は東西方向よりも南北方向に伸びており,偏西風が大きく蛇行している様子が見られる.



blocking2

図2:図1と同じだが,対照的にブロッキングが発生していないときのスナップショット.図1と比べて,偏西風ジェットが東西方向に卓越している様子がわかる.