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ピナツボ噴火とその気候への影響



1.ピナツボ噴火がもたらしたもの

1991年,フィリピンのルソン島北部に位置するピナツボ火山が噴火しました。 当時この噴火による火砕流などにより,フィリピンでは多くの被害がでました。

噴火によって発生した二酸化硫黄は成層圏まで行くと亜硫酸ガスに変化し,薄い層を形成します。そのため,本来地表に到達するはずだった太陽光が減少してしまい,地表の気温は減少します。

その一方で,亜硫酸ガスの層は地表からの赤外放射の一部を吸収する効果(温室効果)もあります。

しかし,この効果は地表の気温を下げる効果より小さいため,結果として地表は平年と比べて寒くなります。 そして、この噴火の影響が主な原因となって1992〜1993年に世界中で異常気象が起こったと考えられています。

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図1:ピナツボ火山噴火における大気中の変化

2.研究

1993年には,ミシシッピー川の氾濫・揚子江下流域の氾濫・南九州の豪雨災害など,全球的に異常気象が頻発しました。これはピナツボ火山の噴火によるものである可能性があります。

事実、ピナツボ起源の硫酸ミストは噴火後3年近く下部成層圏に滞留したことが,人工衛星による観測や地上のレーザ・ライダー観測によって確かめられています。このため,地上における直達日射が2割近く減少しました。

このように,大気の透過係数が変化した時の地球大気の応答を、応答の時間的遅延に関心を持ちながら、簡易モデルによって研究しています。

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図2:北緯30°−40°緯度帯の月平均地表気温偏差(橙色の実線)とその7ヶ月移動平均(赤 色の実線),および火山性硫酸エアロソルの月平均表面積密度(緑色の実線)の時間 変化。Pinatubo火山は1993年6月15日に大噴火を起こし,その後下部成層圏の硫酸エア ロソル量は急速に増加し1994年2月に最大値に達し,その後指数関数的に減少した (e-倍時間はおよそ1年)。