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梅雨期の降水の日変化



梅雨期は九州付近において一年で最大の降水イベントです。梅雨期において特徴的で あるのがチベット高原南東から東に延びる準定常的な降水帯、いわゆる梅雨前線です。 梅雨前線は太平洋高気圧の北縁に沿って形成され、対流圏下層の相対温位傾度極大域 として認められますが、特に九州付近では温度勾配よりも大きな比湿勾配によって特 徴づけられます。また、梅雨期における主要な降水システムは多重スケール階層構造 を持ち、災害をもたらすような強い降水はメソβスケール(20-200km)の雲システムに よってもたらされます。

梅雨期において九州付近はしばしば激しい降水に見舞われます。このような降水が早 朝から昼にかけて生じる傾向があることが近年報告されてきています。図1は1995- 2007年の13年間で平均された、梅雨期における九州付近の降水の日変化を示していま す。30mm/h以上の降水面積は、朝8-10時にかけて最大、夜22-23時にかけて最小とな る日変化をしているのが分かります。


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図1:1995-2007年の13年間の梅雨期で平均された、30mm/h以上の降水面積[×100km]の日変化。


ここから私たちは、このような降水の日変化をもたらすメカニズムを明らかにするた めに、環境場の特徴を調査しています。例えば、九州付近の風速場の日変化を調査す ると、図2のような結果が得られます。図2は九州付近の風の発散の日変化を示してい ます。前日の21時頃から下層(1000-900hPa)で風の収束が強くなり、深夜過ぎに極大 となっているのが分かります。このことは夜間の雲システムの発達に関係しているこ とを示唆しています。また他にも環境場の特徴として熱力学場の日変化を調査すると、 夜間に大気構造の不安定化が起きていることが示唆されます(図省略)。どちらも早朝 から昼にかけて降水が起こるメカニズムとして働いていると考えられます。このよう に環境場の特徴から、降水の日変化をもたらすメカニズムについて議論しています。

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図2:2001-2005年の5年間の梅雨期で平均された、領域平均の発散[×10^(-6)/s]の鉛直-時間断面図。


文章・図:山下俊也